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やぎさんゆうびん 第5号

11.20/1994

 

自然とともにある喜び

 日増しに寒くなってまいりました。朝、臆病者の犬の散歩を終え、乳を出さないやぎを小屋から出して近くの木につなぎ、卵をろくに生まなくなってしまった鶏と雄ばかりのあひるに餌を与え、なぜか急に三匹に増えた猫(と一匹の野良猫)にもキャットフードをあげ、家の西側の寒暖計を見ると、氷点下になっていました。

 西の方ほど日の出が遅いんですよね。半月が頭の上にあって、霜の上に月の影ができているような青ざめた世界に、杉林の向こうのかなたの祖母山から日が上り、オレンジ色の光が長い影をつくり.....寒いですね。豆(小豆、青大豆、黒大豆、大豆、落花生)の収穫と乾燥と脱粒・調整、そば(ぼろぼろこぼれる)の刈取り、大喰らいで役立たずの家の家畜でも食べきれないくらいに大量にできてしまったとうもろこし、そういった畑のあとをきれいにして牧草の種まき、田んぼでは、わらを雨に痛まないように積み、架け干しに使った竹だとかをかたづけ、EM菌を散布し、と寒くなる前にやっておかねばならないことだらけです。白菜を割って干し、渋柿をもらってきて干し柿を作り、柚子ももらってきて柚子ねりを作る。晴れの日には気持ちが高揚し、自然とともにある喜びに満ちあふれます。憂鬱な曇りはどうも農作業には不向きのようです。

 .....曇りの日は文章もうっとおしくなってしまうので、田んぼの竹をかたづけに行って来ました。竹の割れ目に雨水がしみこんでいたりするのでまた洗濯ものが増えたりしますが、軽トラックに竹をいっぱい積み込んで走ると、いかにもお百姓をしているんだ、と何だかうれしくなり、気持ちが高揚してきます。簡単なものですね。

 警察というのは、やくざと同じですね。人の車を黙って持って行ってしょば代をふんだくるのです。いつか月に代わっておしおきしてやるざんす。銀行はやり方が合法的なだけでギャングと同じだ、というのは知る人ぞ知る事実です。車で20分かけて銀行へ行き、キャッシュカードで現金を引き出そうとしたら、このカードは使えないと表示される。窓口でその表示のことを話すと、再発行に515円と印鑑が必要、というので、また同じ時間をかけて家まで戻るのです。とても失礼な言い方をしてしまいますが、こういうところに勤めている人たちはほとんど人生を誤っているんじゃないかしら。軽トラックに竹をいっぱい積んで走ったりするだけで喜びがあふれてきたりするのもおかしなものですが、駐車違反になるくらいの時間停めるつもりはなかった、と言っても、それだけ停めるだけでも違反なのです、と冷たく言い放ったり、面倒なことを言うお客にはかかわりたくない、という銀行の窓口担当者には仕事の喜びがありませんね。

 特定の職業の陰口をたたくことが本意ではありません。多くの時間をひとつの事柄に携わっていると知らぬ間に様々な形でその影響を受けてしまうようなので、自然とともにあるあることがもっとも生きていくことにふさわしいと思うのです。

やぎ

 あまり無駄飯喰いでも困るので、種付けに行って来ました。とは言いましても、草とか野菜くずとか豆がらを良い肥料に変えてくれるので、まったくの役立たずというわけでもありません。それに、草払い機で刈るのにやっかいな場所であっても、草をきれいにしてくれます。ただ、除草したい場所まで連れて行くのがなかなか大変です。本当は行きたいのに行くそぶりを見せない、人が行かせたい所には行きたくても行かない、というへそ曲がりなのです。

 りっぱな雄やぎに昼間の半日そわせて帰って来ました。どうやら再び発情する気配がないので身ごもったようです。農協で買ったふすま、圧ぺん大麦なんてのはもうやめて、(夏を越した)家の米、家のとうもろこし、家の青草(燕麦)、まだ青々としているトマトを根から引っこ抜いてきてやったりしています。少しばかりわがままであったのが影をひそめ、すっかりおとなしくなってしまいました。太り気味なので、難産にならないようウェイトコントロールに努めねばなりません。

 来年の4月5日が予定日です。雄が生まれたらどうしよう、雌をもらってくれることになっている人の気が変わったらどうしよう、という心配があります。乳がとても飲める代物ではなかったら、という不安もあります。しかし、今冬牛乳でチーズ作りに習熟したのち、ほとんど入手不可能なやぎのチーズを、ポストハーベストとかの心配のない飼料によって自給するのです。

EM菌

 近頃巷で評判のEM菌てご存じですか。EM菌は商品名で、中みは幾多の有用微生物の集まりです。堆肥なんかは好気性の微生物の働きで作られるのに、EM菌は嫌気性であるので、たとえば田んぼの水のなかに直接まいて有効なのだそうです。ボカシというのは米糠その他にEM菌をまぜて増殖させたものですが、空気に触れぬようビニール袋に密閉して作ったりします。効用は、そういった微生物が馴染むあらゆるところにおよび、特に都会では生ゴミにボカシをかけて分解させてしまう作用に注目されているようですね。

 私のところの使用例でもっとも効果の高いのは、種子の発芽です。EM菌につけてからまくと、翌日にはもう芽が出たりして驚かされます。発芽までの期間が長いものでも発芽率がぐんとよくなるようです。次に、少々神がかってきますが、果樹の苗の根を浸してから植えたところ、これはネクタリンだったのですが、一年で背丈以上にがっしりと成長し、虫もつかないのです。小豆もまた虫がつきやすく、収穫後選別に苦労するのですが、噴霧した効果があったようです。ただ、虫よけには相当まめにしてやらないとなかなか難しいようですが。夏のキャベツなんかはまず無理だろうと思います。

 田んぼでは、前述のボカシを大量に追肥として用いました。植物性主体のこえは米の味に良いようなので、来年からの追肥はボカシ一本です。そして何より、EM菌の除草効果に期待しております。あの頑強な水田雑草がそう簡単になくなるとは思えないのですが、草取りの苦労を思うと何でもするのです。秋処理、EM菌のえさとして田んぼに糠をまき、その上から薄めたEM菌をじょうろでまく。春処理、EM菌をまぜて一緒に代かきをする。これを何年か繰り返すと、土壌が改良され、雑草も消えていくというのです。つまり、土壌が改良されるというのは有用微生物が地中に増えるということであり、雑草が消えていくという原理は、直接EM菌が雑草に作用するというよりは、寒さにむかって雑草の種子を発芽させて枯死させる、水をはった田んぼで発芽させて、それをもう一回代かきすることによって死滅させる、という減少させるタイミングをうまくとらえるところにあるようです。

 今年は収穫が早かったので、去年までははえたこともなかったひこばえが、暖地の田んぼと同じようにきれいにはえました。それと一緒に雑草の花殻もびっしりです。これがまた来年いっせいに芽を出すかと思うとファイトも萎えます。効き目があるのかなあ、と思いつつEM菌を使いこなそうと努めております。

 ボカシをご入用の方は何かのとき一緒に送りることができると思いますので、ご一報ください。