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ことりさんゆうびん 第3号

5.20/1994

 

小鳥、鳥、その他

 冬の終わりとともに鳥たちの姿が目につき始めます。一面の枯野に枯野と同じ色をしたつぐみのような鳥の集団、それからじょうびたきは縄張りがあるのか、人が近づいても一定の距離を保って舌打ちのような鳴き声をたてます。黄色みの強い小型の鳥はめじろでしょうかね。やがて、うぐいすの鳴き声はすぐに気がつきますが、この前初めて間近にその姿を見ました。口笛を吹くとけっこう大胆です。春も深まり、このへんで一番騒々しいのは、しじゅうからのようです。すずめは今年は雨の少ないときに雨樋に巣を作り、大雨が降ってそのつがいはいなくなってしまいました。からすが杉の木のてっぺんに巣を作り、からすの赤ちゃんの鳴き声にそばまでいくと、親鳥が舞ってきて近くの枝にとまり、斜めにこちらを睨んだりします。からすの赤ちゃんは、赤いお帽子欲しいよ赤いお靴も欲しいよとかあかあ泣くことはなく、低いこもったようなぐうぐうという鳴き声です。かっこうかっこうと鳴く鳥は、ちょっと農作業をさぼってロ−マンカモミ−ルの上でうたた寝なんかをしているとうるさくてかないません。本当に時計と同じ音をたてるのです。夜、この地区の集まりのときふくろうが鳴いており、あれがふくろうの鳴き声だよと誰かが教えてくれました。

ラベンダ−畑と果樹園

 春の本格的な農作業はラベンダ−畑作りから始めました。ラベンダ−は酸性を嫌うので大量の牡蠣殻石灰を施し、油粕と骨粉を土と混ぜて醗酵させておいたぼかし肥を元肥として鋤こみ、雨にも弱いので、鍬で一畝ごとに高畝とし、雨はね防止と夏の草取りの苦労のことも考えて、一部にマルチを張りました。表が白くてあまり地温を上げず、裏は黒くて雑草をはえにくくするという白黒ダブルという種類のマルチです。一年だけの試験的なもので、二年目からは稲藁を敷きつめる予定です。

 有機農法について、農薬と化学肥料を使わないだけであとは何でも使う、というまことに当を得た批判があります。ハウスで石油を焚き、季節はずれの有機野菜を出荷するのは論外として、老夫婦二人が少しの省力化を企てても見逃してもらうしかありません、などと都合の悪いときは急に年をとったりします。自然農法は実現しがたいと思いつつ、理想です。勤勉な老夫婦は目の前に草があるとつい引っこ抜いてしまうのです。

 4月3日の朝日新聞朝刊に福岡正信さんの「主張」が載っていました。自然農法をめぐる動きも時代とともに様々に変化してきていると思うのですが、「農作物は自然が作り、人間は手助けにすぎぬ」とその見出しにもあるように、この方の思想は首尾一貫していて、しかも単純であるので、いつであっても力づけられます。「百姓が種をまいたら芽が出るというと、宗教家は神様がまいた種だから芽を出したという。農学者は温度と水分があったから芽が出たと説く。だれの答えも正しいようにみえるから、意見が一致することはない。」というところに福岡さんのいつもの苛立ちがあるようです。そうしてそれは、農薬と化学肥料を使わないだけでも大変であるのに、と思う私たちの苛立ちでもあります。

 ラベンダ−は500株も植えました。グロッソというラバンディンの種類が300とトゥィッケルパ−プルとロイヤルパ−プルというラベンダ−が100ずつです。りっぱな苗を提供してくれた日野春ハ−ブガ−デンに感謝をこめて、通信販売のカタログ(切手250円がいります)の請求先をお知らせしましょう。ハ−ブ苗はここがおすすめです。

  〒408 山梨県北巨摩郡長坂町日野2910

  有限会社玉川園芸 日野春ハ−ブガ−デン

 ラベンダ−畑の一隅に立てたメモリアルボ−ドにこの畑を作った目的を記しました。「じいじ」というのは、子供たちが祖父のことをそう 呼んでいたからです。

 

私たちがこの地に来たのは1991年12月です。じいじはいつか遊びに来たいと言って、1992年7月21日に永眠いたしました。このラベンダ−畑はじいじの思い出のためのものです。

 

 果樹園として苗木81本も植えました。プル−ン三種30本、渋柿二種20本、りんごは紅玉を10本、洋梨はシルバ−ベル10本、あんずの幸福丸を10本、それと相当変わった種類のりんご1本です。何年か先、乳牛が酪農家を養うように養ってもらえるんじゃないか、と甘い夢をみております。畑地の一部にあまりよくない土質のところがあり、作物はよく育たないのに雑草ばかりが肥料を吸収してしまうのです。それならばと、冬のあいだよく耕し、苗木を植え、牧草の種をまきました。牧草が繁ったら刈って果樹の敷草とし、牧草は何回も刈れるので牧草に堆肥をまいてまた育て、こうして上から土をよくしていこうという考えです。

 現在は牧草がよく育ち、大草原のおもむきです。

さあ春だ

 春は大忙しです。自治会のこと、学校のこと、農作業もたちまちピ−クです。

 いなかはご想像通りとても部落単位の催しが多いのです。行政もほとんど自治会を通してことを運ぼうと思っているようです。そして春は年度末・年度始めであるので、期末の総会、期首の総会があり、欠席なんてことは思いもよりません。そして大平自治会はわずか13世帯ですので、毎年何らかの役を仰せつかる、というのが恒例となります。今年は体育部長です。部落対抗の運動競技が年に何回か催され、そのとりまとめ役として各自治会を代表する役割です。しかし、大平は一チ−ムをとても組めないので、10月10日の町民競技大会を除いて何も参加いたしません。小さな自治会では役が多くまわって来るけれども負担は少ない、大きいところではその逆になる、というようなこともいなかに移住して来て初めて知ることです。今、隣の部落に一軒、別の隣の部落に一軒、たんぼのある空き家が出ています。都会から移り住むにはこの地はとてもよいところですぞ。昨年稲の収穫を手伝ってくれたI子さんとI子さん(本名をあかすと郁子さんと伊都子さん)はなんと三月からこの地(また別の自治会ですが)で生活しているのです。ダイナミックな行動力とどんなことでも楽しいものにしてしまう生活力に唖然とし、ハッピ−な気持ちになります。ともあれこの時期、自治会関係の催しは六回もありました。

 学校の行事も、これはいなかに限らずそうでしょうが、同じ理由からこの時期には数多くあります。中学生と小学生が一人ずついるので(あらためて紹介しておきますと、悠(中3)と風(小4)です)、同じようなことが二回ずつあるみたいです。特に今年は一番下のレイちゃんが保育園に入園したので、入園前から体験入園だとかで大騒ぎしてしまいました。この町は中学校小学校が一校ずつ、幼稚園がなくて保育園がふたつあります。荻村と柏原村とが合併した名残です。小中学校も二校ずつあったのが、ごたぶんにもれず統廃合されてしまいました。小学校の遠足は旧荻小だとか旧柏原小へ徒歩で行くようです。

 レイは花をおもちゃにして育ったので───香りのよい草とか花のなかで髪の毛をさばいてシャンプ−みたいなことをしたりします───保育園でも花のケ−キをまず第一にはやらせたりしたようです。砂のケ−キ台の上に手当たりしだい採ってきた花を飾るのです。無機的な砂の上に咲いた花のかたまりはなかなかどきりとさせます。オリジナルな感覚を持った子、というのが言い過ぎであるなら、親をオリジナルな仕種で喜ばせていた子、が小学校中学校と進むにつれだんだん没個性的になっていくのは、悲しいことです。それでもいなかの子は純朴であり、個性が埋没しにくい環境であるようであるのがうれしいのです。教育は個々の先生方が上手にやっておられるのに、行政にかかわる部分が画一的な指導しか出来ないのかな。しかし、この問題はここでは大きすぎます。

 さて農作業ですが、冬を越してきた作物のなかで、たまねぎは不調でした。今年は自給できそうもありません。苦肉の策として、オニオンセットを育てています。春先にたまねぎの種をまき、小さな球を収穫して貯蔵し、秋になって植えなおすと年内に食べられるくらいまで大きくなるのだそうです。味はあまりよくないといいます。しかしたまねぎは料理に欠かせないものですから。小麦もどうなるやら、畑の小麦は隣にまいた牧草(イタリアンライグラス)に浸食されていて、かえってこぼれ種で育った小麦の方があちこちでりっぱに育っていたりします。アスパラガスの畑も、もとライ麦のところに作ったら、こぼれ種で育ったライ麦にすっかり占領されてしまいました。ライ麦というのは、刈っても刈ってもまた平気な顔で伸びてきます。

 そのほかの冬越しの作物は何てこともありません。とは言ってもこの時期、あっというまに菜の花になったりしてしまいます。

 自家用の米が不足気味なので、今年は本気になってじゃがいもを植えつけました。と言うのも、じゃがいもはほうっておいても勝手に大きくなるものだと思いこんでいて、去年まではほとんど手入れをせず、そうしてろくに収穫できないでいました。今年はそうはいってられないので、堆肥を入れてていねいに耕し、種いもを埋めてからまた堆肥をまき、黒マルチ(またマルチ!)までも張りました。今は花盛りで、どこよりもりっぱなじゃがいも畑になっております。作物のなかで、米が一番賢くて、じゃがいもが一番あほだと、どこかに書いてありました。そのとおりですね。

 春小麦もまきました。国産地粉を天然酵母でふくらませたパンは、固い、すっぱい、(買うと)高い、と思い込んでいる方はぜひうちの全粒粉のパンを食べてみなければいけません。強力粉でなくてもパンは焼けますし、醗酵をうまくすればすっぱくなるなんてこともなく、なめらかです。小麦はご存じのように寒さにあわないと穂をつけない習性を持っていますが、米を補うためにあわてて春にまいても大丈夫、もう穂を出しています。ただ春まきは草も一緒に芽を出すので、草との競争になってしまいますね。

 花壇に翌年はえてくる草は雑草である、なんていう何とかの法則がありそうですが、そんなこともありません。春一番に咲くムスカリであるとか水仙だとかの球根類はもちろん、ボリジの青い花も勿忘草もこぼれ種で必ず出てきます。まるで雑草のように花壇を占有するので、その意味では先の法則の通りです。それからチュ−リップとアネモネも咲き始め、デ−ジ−、シャスタ−デ−ジ−、麦撫子等の宿根草も長い間咲きつづけます。スイ−トピ−は、あまり暑苦しい色のもどうかと思いますが、白いのだけは絶対面白くも何ともありません。えんどうの類と同じですものね。今は金魚草、飛燕草、西洋おだまき、ルピナス、カンパニュラ、デルフィニウム、ネモフィラ等の比較的暖かさを好む花、それからバラ、ハニ−サックル等の花木類が咲いています。おいしそうな花には虫もよくつきます。今年はニンニクをつぶして醗酵させたもの、天恵緑汁と呼ばれるよもぎと黒砂糖を醗酵させたもの、EM菌という知る人ぞ知る有用菌を培養したもの、これらを駆使して防徐に努めるのです。

 珍しいところでは、一年前玄関のなかの暖かいところに植えたジャスミンが2メ−トルほどに成長し、ちょうど冬の温度がよかったのかつぼみをたくさんつけ、しばらくのあいだあの香りでいっぱいだったのです。エッセンシャルオイルを採る装置があるのに通りがかりにただかぐだけで満足してしまい、すっかり忘れてしまったほどでした。 たんぼのことがそっくり抜けてしまいました。しかしもう長く書き過ぎましたし、田植えにかかりっきりだったために、「ことりさんゆうびん」をお送りするのも遅れてしまっています。米については、今年は苗作りから田植えまでまあ順調で、どちらかというと楽しんでできた、ということをお知らせするだけで、急いでお送りいたします。

それでもどぶろくのこと

 今年もまた3月のお彼岸のころ、どぶろくを仕込みました。味噌の麹を作る都合により毎年このころが恒例になりそうです。そして今年は山口県在住の新屋楽山さんの指導のよろしきを得て、会心の出来でありました。このことだけでも号外として皆さんにお知らせしたいほどでした。しかしどうやったらそのおいしさをお伝えできるものなのでしょうね。三段仕込みでアルコ−ル度数が十分高く、極辛口で、市販されているどんな生酒よりもフレッシュで、そして水のようにさわやかなのです。残念であったのは、米の残量が心細いので、できあがり量で四升ぐらいしか造れなかったことです。

 新屋楽山さんには電話で麹造りから色々指導いただきました。どぶろくにしろ味噌にしろ、力の強い麹を使うことが上手にできるためのまず第一の要件です。特に強調しておきます。もしどぶろくを造るようなことがあったら、次の本の新屋楽山さんの稿の通りにすれば間違いありません。

 

  諸国ドブロク宝典 農文協刊 1,000円 (三人の方の共著)