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ねこさんゆうびん 第2号

2.20/1994 



 

 三回目の冬を過ごしています 冬は醗酵の季節です。気温の高いときであると醗酵ではなく腐敗させて大量の材料を前に途方にくれたりします。農作業に不向きな季節にじっくり何かを創造することは気を落ち着けてもくれます。雲がたれこめて凍てついた日や、雪が積もってなかなか溶けないでいるときは、戸外でやらなければならないことがたくさんあっても、家のなかで悶々としていなければならないからです。

 味噌は、去年は大豆が不作でうちの分が確保出来ず、一昨年の豆を使って仕込んでいます。大豆に限らず、夏をこして成育するものは、あのような天候ではまるでいけませんでした。小豆、そば、せっかく大きくなったヒソップだとかのハ−ブ類。とうもろこしとかさつまいもは自家用で、それほどたくさん植えつけているわけではないので何ということもありませんが。それから、米。前の年の倍植えたのに、前の年ほどの収量もあがらなかったのだから、がっかりです。ともあれ、味噌は大豆と麹と塩を混ぜておくだけで、特別の温度管理もすることなくあのようになるのだから、不思議なものです。

 新鮮な牛乳が手に入るのだからいつかチ−ズを作ってみたいものです。九重高原には大きな牧場があって、そこでチ−ズ作りに必要なレンネットという子牛の胃から取り出した凝固剤も手に入りそうです。しかし、チ−ズ作りのイメ−ジとして、丸太で出来た熟成小屋が思い浮かぶものですから、まずそのような丸太小屋を建てなければなりません。そうなるとチ−ズだけではなく、燻製も出来るようにしたい、そうすれば自然に増えていってしまう雄鶏も淘汰出来る、とかだんだん大がかりになっていくので、いつ出来るかわかりません。そうして、同じ牛乳からの醗酵食品であっても、ヨ−グルトなんかおかしくて作ってられなくなります。

 しかし何といっても醗酵で興味が尽きないのは、どぶろく作りです。個人的な興味でしかありませんかね。去年の秋、ワインを二回仕込んでみて、その二回目で酒作りの神髄をつかんだのです。神髄と言っても、失敗しないためのこつ、という程度のものです。つまり、酒作りにおいて、わかせるときには猛烈にわかせなければいけない、というものです。ワイン作りはどぶろくよりも単純です。ただぶどうのしぼり汁に酵母を効かせて猛烈に醗酵させさえすればよろしい。どぶろくの方はまずもとという酵母を培養した文字通り酒のもとを作り、それを飯と麹と名水で仕込むのです。仕込んだ最初の段階のわきかたが強ければ、やがてはおいしいどぶろくが出来上がるのに間違いありません。

 それでも、真っ青な空に冬の日がさす風のない穏やかな日にはなかなかじっとしてはおれません。首にタオルをまいて鍬をふるっていると、すぐに上衣をとり、セ−タ−を脱ぎ、農作業に没頭してしまいます。戸外でも醗酵の作業があるのです。

 油粕はほどよい肥料成分なので畑に多用しているのですが、いかにも窒素が効きそうな見かけほどには効いてくれません。阿蘇の火山灰土でリン酸の欠乏が甚だしいという土に骨粉をやってもいったいいつになったら効いてくるのやら。しかし油粕と骨粉を大量の土と混ぜ合わせ、そこに適当な酵素剤を糠と一緒に加えて、たっぷりの水で湿らせて山積みにしておくと、一週間ほどで醗酵して高い熱を出すようになります。その熱を冷ますためと、材料をもっと均一にするため切り返します。ものすごいにおいがします。骨粉はもうほとんど溶けてしまっています。これを冬の休んでいる畑に準備しておき、春になってからばらまいて耕うんすると、土がまるで若返るみたいに見えるのです。醗酵した土はちょうどどぶろくを作るときのもとと同じ作用をするような気がいたします。

 このときの水は別に名水でなくてもかまいません。(この地方は、阿蘇、九重、それから祖母山にかこまれて、水の大変良い地です。) 醗酵食品といえば漬物もそうでしたが、とりたてて珍しくもありませんね。冬の大地が凍てつく前に畑から白菜と大根をとってきて、大量に漬けこみます。きれいな空気が凛と冷えて、漬物の味もよくなります。それよりも、冬の何もないあいだ牛や何かに与えるサイレ−ジは、近くの酪農家は飼料用のとうもろこしの根を除いた全部を切り刻んで使い、上手に醗酵させて保存しています。いわば家畜の漬物で、とても興味深いものです。去年は雨のためにとうもろこしのまきどきを失してしまい、作れませんでしたが、今年はうちのやぎさんのために作ってみたいと思っています。

2.19/1994

 猫が死んでしまいました。どこからか拾って来て二ヵ月あまりの短いつきあいでした。それで今は犬(ベル)なんか見向きもされません。